当事務所の相続・遺言書専門サイト【埼玉県川越市の相続と遺言書相談.com】はこちらから
埼玉県川越市の行政書士鈴木法務事務所について

行政書士鈴木法務事務所では相続相談・相続手続き代行・遺産分割協議書の作成・遺言書作成等の相談業務などを専門に行っております。
049-293-1091(10:00~19:00  ※土日祝日も受付は可)
お気軽にお問い合わせください

ご相談の詳細はこちらからどうぞ

民法の遺言執行者に関する改正~遺言執行者の地位と権限

埼玉県川越市の相続と遺言書専門行政書士Blog 遺言書の制度

被相続人(亡くなった方)が遺言書を残していた場合、その中で『遺言執行者』を選任している場合があります。

遺言執行者というのは、簡単にいうと『遺言書の内容を実現するための職務を行う人』です。

この遺言執行者は、被相続人が遺言書で指定する場合と、相続人が家庭裁判所に申立てを行うことで、家庭裁判所が選任する場合とがあります。

しかし、遺言執行者の地位や権限については、現行の民法では明確化されていません。そのため、遺言執行者に関連して相続人間でトラブルが生じることが多々あります。

そこで改正相続法では、遺言執行者の地位や権限を明確化するための条文が改正されます。

遺言執行者の地位というのは?

現行の民法では、遺言執行者の地位を『相続人の代理人』と規定しているのみです。

民法第1015条(遺言執行者の地位)

遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。

遺言執行者というのは遺言者の意思(遺言書)の内容を実現するための人ですから、むしろ『遺言者の代理人』という考え方をするのが自然かもしれません。

しかし、遺言書の効力が生じるのは、被相続人が亡くなった後となります。そのため、民法の条文では『相続人の代理人』という表現になっているのです。

条文の改正により遺言執行者の地位が明確に

改正される条文では、この『相続人の代理人』という意味をより明確化するため、次のように改正されます。

改正民法第1015条(遺言執行者の地位)

遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。

このような条文の改正により、『相続人の代理人』という遺言執行者の地位が明確化されることになるのです。

遺言執行者の権限というのは?

遺言執行者の権限というのは、現行の民法で次のように規定されています。

民法第1012条1項(遺言執行者の権利義務)

遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

このように、現行の条文の文言のみでは、遺言執行者が具体的にどのような権限があるのかが明確になっていません。

遺言執行者は、被相続人の遺言内容を実現するための人なのに、『相続財産の管理』に関することは何でもできる、とも読めてしまうのです。

条文の改正で遺言執行者の権限を明確化

そこで、この民法第1012条についても、次のような条文に改めることで、遺言執行者の権限を明確化することになりました。

民法第1012条1項(遺言執行者の権利義務)

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

このように改正されることで、『遺言執行者は遺言の内容を実現するための人』という定義が明確化されます。

例えば、遺言者が不動産を所有していたような場合に、遺言内容を実現するための行為として、その不動産についての登記(相続登記や遺贈の登記など)を行うことが可能、ということが明確になります。

遺言書を作成する場合には必ず遺言執行者の指定を

上記の通り、遺言執行者の地位や権限が明確化されることで、より遺言者の意思通りに遺言内容が執行されることにつながります。

ただし、遺言執行者の指定については注意点もあります。そこで主な注意点をあげておきます。

遺言執行者の『力量』をしっかり見極める

遺言内容を自らの意思通りに、確実に執行してもらうためには、遺言執行者の『力量』が大きく問われます。

なぜなら、遺言書の内容が特定の相続人にとって不利なものであるといった場合などに、遺言執行者に対する『風当たり』を正面から受け止め、粛々と職務を行っていく必要があるからです。

つまり、この遺言執行者の力量により、遺言の執行が迅速に行われるかどうかが決まってしまう、というほど重要なことなのです。

遺言執行者の地位や権限が明確になることは、逆にいえば遺言執行者の職責も大きくなることを意味します。

また、遺言執行者の指定というのは遺言者の一方的な意思表示です。

そのため、たとえ遺言書で遺言執行者を指定していたとしても、指定した人が遺言執行者への就任を辞退することもできるのです。

遺言執行者にはプロの専門家を指定しておくのが安心

遺言執行者については、未成年や破産者でない限りは相続人の中から指名することも可能です。

しかし、先ににも述べた通り、遺言執行者の職責は重いうえに、ときに法的な知識も必要となることがあります。

他の相続人からの風当たりを正面から受け止めて、粛々と職務をこなす力量も問われます。

そういった点を考慮すると、遺言執行者には行政書士などといったプロの専門家を指定しておくのが安心といえます。

行政書士などの専門家は、遺言書作成について業務として遺言執行者に就任するため、遺言執行者を辞退されてしまう、といった心配もありません。

自分よりも若い方を複数人指定しておくこと

さらに付け加えると、遺言執行者は自分よりも若い人、できればひと回り、ふた回り若い人を指定するようにしましょう。

遺言者と同年代の方を指定してしまうと、その方が先に亡くなってしまう可能性も考えられるためです。

また、遺言執行者は複数人指定することも可能です。

複数人指定するメリットとしては、遺言執行者のひとりに何かあったとしても、他の遺言執行者が職務を行うことができることです。

なお、遺言執行者を複数指名した場合には原則として、遺言の執行について遺言執行者の過半数で決める必要があります。

例えば、金融機関での預金の払い戻しといった職務についても、指定した遺言執行者全員で行う必要が生じてきます。これではスムーズな遺言執行の妨げになる可能性があります。

そこで、遺言執行者を2名以上指定する場合には、遺言執行者が単独で職務が行えるよう、『ただし、遺言執行者は単独で遺言を執行できる』という文言を付け加えておきましょう。

遺言書を作成する目的は内容を確実に執行してもらうこと

主な注意点は以上となりますが、遺言書を作成する目的はあくまでも『遺言書の内容を確実に執行してもらうこと』です。

そして今回の民法改正では、遺言執行者の役割や規定のなかった職務上の義務などについても明文化されることになっています。

そうした点をよく熟慮して、遺言執行者を選任するようにしましょう。

なお、遺言執行者に関しては、他にもいくつかの重要な改正点がありますので、こちらについては別途詳しい内容の記事を執筆していきます。

これから遺言書を作成する方は、今回の民法改正について、ぜひ理解を深めるための参考にしていただければ幸いです。

遺言書の制度
著者行政書士プロフィール

1971年埼玉県狭山市出身。平成18年1月、埼玉県川越市に行政書士鈴木法務事務所を開業。埼玉県行政書士会川越支部所属・同支部理事。
開業当初より遺言書作成・遺産相続手続きを中心とした分野を専門として取り組み、これまで多数の実績がある。
事務所を構える埼玉県川越市を中心とした地域密着型の業務で、きめ細かな顧客への対応を実現し、遺言書作成・遺産相続手続きの専門家として大きな信頼を得ている。

よろしければフォローしてください
よろしければフォローしてください
埼玉県川越市の相続と遺言書専門行政書士Blog