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自筆証書遺言は遺言者の希望が実現されない?~データでわかる現実

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自筆証書遺言は、自分が思い立ったときにすぐ書くことができ、最も手軽に作成することができる方式の遺言書です。

加えて、平成31年1月13日以降に作成された自筆証書遺言については、財産目録を自筆する必要がなくなるなど、作成方式が緩和されてきています。

しかし、実は自筆証書遺言が残されているにもかかわらず、相続人間で遺産分割協議(相続人同士での話し合い)を行い、相続手続きを済ませてしまう割合がかなり高いのです。

その理由のひとつとして考えられるのは、自筆証書遺言の執行(遺言書の内容を実現する)には、家庭裁判所での手続きを要するなど、手間と時間がかかることです。

統計から読み取れる自筆証書遺言の執行率の低さ

遺言書というのは方式を問わず、遺言者の希望として遺産分割(遺産を相続人間で分けること)において最優先されるものです。

ただし、相続人の全員が同意すれば、遺言書の内容に沿った遺産分割を行わず、相続人間の遺産分割協議で遺産分割を行うことが可能です。

つまり、必ずしも遺言者の希望通りに遺産分割が行われないこともある、ということになります。

特に、自筆証書遺言については、そのままでは遺言内容を執行することができません。

自筆証書遺言の場合、その遺言内容を執行するために家庭裁判所に対してまず『検認』の申立てを行う必要があります。

こうした手続きの煩わしさ、時間がかかる手続きを敬遠するといったことが、自筆証書遺言の執行率が非常に低くなっている一因といえるでしょう。

統計データでもはっきりとその傾向が読み取れる

これは、統計データにおいてもはっきりとその傾向を読み取ることができます。

少し前のものですが、平成27年の統計では以下のような数字が出ています。

  • 死亡者数:129万0444人
  • 公正証書遺言の作成件数:11万0078件
  • 自筆証書遺言の検認件数:1万6888件

そもそも、公正証書遺言を含めても遺言書を残して亡くなる方というのは、まだまだ少数派だということがわかります。

そして、自筆証書遺言の検認件数の低さが際立っていることがわかるでしょう。

自筆証書遺言は、基本的に自分で書いて自分で保管するといった形式であるため、実際にどのくらいの数が作成されているのかはわかりません。

しかし、近年『終活』などといった言葉が一般的になりつつある中で、その一環として自筆証書遺言を書いている方は以前よりもかなり多くなってきているはずです。

ところが、この数字の低さから読み取れるのは、自筆証書遺言で意思表示をしていたとしても、いわば『遺言書を無視』した遺産分割が行われている割合がかなり高いということです。

今後施行される法務局での遺言保管制度で執行率は変わる?

自筆証書遺言については、先に述べた方式緩和に加え、2020年7月10日から『法務局における遺言書の保管等に関する法律』が施行されます。

これは、自筆証書遺言を公的な機関である法務局が原本および電子データを併せて保管し、自筆証書遺言の大きなデメリットである検認手続きを不要にするというものです。

紛失や改ざんといったことを防ぐこともでき、自筆証書遺言のデメリットを大部分補うことができる制度ともいえますね。

遺言書保管制度は故人の意思を尊重できるものとなるか

現時点では法律が施行されていませんので、まだ制度を利用することはできません。

しかし、この制度が施行されることで自筆証書遺言の執行率が改善される、つまり遺言者の意思を最大限尊重した遺産分割が行われるケースが増えることをぜひ期待したいところです。

遺言書は故人の最後の意思表示です。

また、遺言書があることによって防げるトラブルも少なくありません。

そういった意味でも、これから自筆証書遺言の作成を検討されている方は、ぜひ積極的に利用することをお勧めします。

ただし一番大事なのは遺言書の内容です

なお、遺言書の保管制度も完璧に相続トラブルを防ぐことができるものではありません。

法務局は遺言書としての形式が整っていれば保管手続きをとりますが、肝心の遺言内容をチェックすることはありませんし、その権限もありません。

手続きが円滑になることが期待できる制度ではありますが、あくまでも遺言書の内容そのものは自己責任ということです。

せっかく遺言書を残しても、その内容が原因となって相続トラブルが生じてしまっては本末転倒と言わざるを得ません。

自筆証書遺言の保管制度を利用するにしても、やはり専門家と相談したうえで作成するのが安心でしょう。

もっとも、自筆証書遺言の保管制度が始まっても、遺言書の内容や財産内容によっては公正証書遺言の方が安心、安全なケースも多々あります。

こういった点も含め、ぜひ専門家を活用して相談しながら遺言書を作成することをお勧めします。

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著者行政書士プロフィール

1971年埼玉県狭山市出身。平成18年1月、埼玉県川越市に行政書士鈴木法務事務所を開業。埼玉県行政書士会川越支部所属・同支部理事。
開業当初より遺言書作成・遺産相続手続きを中心とした分野を専門として取り組み、これまで多数の実績がある。
事務所を構える埼玉県川越市を中心とした地域密着型の業務で、きめ細かな顧客への対応を実現し、遺言書作成・遺産相続手続きの専門家として大きな信頼を得ている。

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