昨年行われた平成最後の行政書士試験となった、平成30年度の行政書士試験の結果発表日が目前に迫ってきました。
合格発表日は平成31年1月30日です。
すでに合格を確信している方、ギリギリのラインでやきもきしている方、残念ながら手ごたえがなかった方などなど、受験した方々は様々な気持ちで過ごしていることでしょう。
思い起こしてみると、私は自己採点で一般知識がギリギリのラインだったので、不安と期待が入り混じった複雑な気持ちだったことを覚えています。
行政書士試験は法令科目が合格基準に達していても、一般知識が一定ラインに達しないと足きりで不合格ですから、本当に祈るような気持ちでしたね。
行政書士は試験よりも合格後の方が大変です
私が受験したのは、もうかれこれ15年近く前のことです。当時はスマートフォンなんてありませんでしたし、自宅のインターネット環境も懐かしのISDNでした。
一応、当時もインターネットでの合格発表はありましたが、何しろ回線がとても遅かったので、カクカクと表示されてくる受験番号が出てくるのを、パソコンの前で正座して待ってましたね(笑)。
結果として何とか合格できたわけですが、喜びの感情とともに、これから行政書士という仕事をしていくにあたって何をしていくのか、すぐに開業準備へと頭を切り替えていました。
受験勉強より合格後の勉強と経営の方が難しかった
行政書士試験に合格するための勉強はもちろん大変でしたが、行政書士として仕事をするための実務知識を得る自己研鑽、そして経営者としての思考に切り替えるのが大変でした。
何しろゼロからのスタートです。
実務で必要となる知識や法律は何か、仕事を得るためにはどのような行動をすべきなのか、経営についての勉強などなど、受験勉強とは比べ物にならないくらいの難題が待ち受けていたのです。
私は経営者となったことがありませんでしたから、同業・他業種を問わず優秀な経営者の方との人脈を築きながら、経営の勉強にも力を入れました。
とにかく24時間365日働いて勉強していく、といったくらいの心構えと気概をもって、必死になって経営と実務について学んでいましたね。
今思えば、そうした行動や経験がプラスになって今につながっていると思います。
行政書士になることは簡単なこと~ただその後が肝心
行政書士となること自体は、試験に合格できさえすれば簡単です。
行政書士会に申請して登録費用を払い、事務所と必要最低限の備品などを揃えれば、とりあえず仕事ができる体制は整えることができます。最初は自宅の一室を事務所にすることもできますしね。
一般的な業種の起業に比べ、ある程度の自己資金があれば必ずしも開業時の借り入れが必要なわけでもなく、行政書士で開業すること自体のハードルはとても低いと思います。
ただし、行政書士として開業することは簡単でも、当たり前のことではありますが、肝心の仕事がなければお話になりません。
ここをどのように乗り越えることができるかどうかで、その後の明暗がはっきりと分かれてしまうといっても過言ではないのです。
要は、まず0を1にすることに全力を傾けるということですね。
0を1にさえできれば、1を10、20にしていくのはそれほど難しいことではありませんので。
優秀な行政書士が一人でも多く活躍してほしい
行政書士試験を受験する目的は様々でしょうが、行政書士として独立開業を目指している方も少なくないでしょう。
実務能力という点については、今の行政書士試験に合格できるくらいの実力があれば、それほど苦労はしないと思います。
ただ、言うまでもなく行政書士も客商売です。
いくら実務能力が高くても、経営や営業力、コミュニケーション能力といった様々な力量が足りなければ、容赦なく市場から淘汰されていきます。
いくら国家資格者という肩書を得ても、経営というのは誰もが成功できるとは限りません。たとえ実務能力が高くても、です。
厳しいようですが、せっかく行政書士試験に合格しても、開業から数年以内に廃業してしまう方も多い世界です。もっとも、これは行政書士に限ったことではありませんが。
行政書士試験に合格することは、経営者としてのスタートラインに立つ権利を得たということに過ぎません。本当のスタートラインは仕事を獲得してからです。
優秀な経営者である行政書士が一人でも多くなれば、業界の活性化と社会的ステータスも向上していきます。
試験合格を勝ち取って開業を志している方は、ぜひ一緒に切磋琢磨していきましょう。