内田裕也さんが死去されましたね。謹んでお悔やみ申し上げます。
昨年亡くなられた奥様の樹木希林さんの後を追うように亡くなられたことは、少し不謹慎かもしれませんが運命というか、私たちにはわからない絆のようなものさえ感じます。
内田裕也さんというと、おそらく若い方にとっては『ちょっと変わり者の爺さん』というイメージしかないかもしれません。
しかし、私の世代からすると『自分のポリシーを変わらず貫き通したカッコいい人』という思いが強くあります。
数々の伝説を残してきた稀代の存在感
内田裕也さんといえば、私の世代ではパルコのCMで見せた佇まい、存在感がとても印象に残っています。あのときの姿は本当にカッコよかったですね。
当時はもちろん、今も高い評価を得ている広告です。
また、都知事選に出馬したときの政見放送で見せた、前代未聞の『アカペラ歌唱』パフォーマンスは良くも悪くも伝説として語り草になっています。
そして、阪神・淡路大震災や東日本大震災の際はいち早く被災地に入り、ボランティア活動を行っていたという一面もありました。
東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻市に入った際には『石巻の石はロック、巻はロール、ロックンロールだ』などとも語っていました。一部からは非難の声もあったといいます。
しかし後に『あれはただのこじつけで、石巻は亡くなった方や行方不明の方も多い。まずはここだと思った』とも語っています。
破天荒と言ってしまえばそれまでですが、単に言葉だけで発信するのではなく、とにかく行動に移したことがまさにrock ‘n’ rollな生き方だったように思いますね。
関わった多くの著名人が逝去を惜しむコメントを発していることからも、ただ自分勝手で破天荒な人という一面だけでないことを物語っているようです。
樹木希林さんとの不思議な夫婦関係も話題に
そして、昨年亡くなられた樹木希林さんとは『奇妙な』夫婦関係だったことも有名な話です。
同居していたのはわずか2年ほどで、その後は別居生活が43年以上、そして最後まで夫婦関係であり続けました。
ただ、そうした独特な夫婦関係であっても樹木希林さんは亡くなる前、残された内田裕也さんが困ることがないようにと、しっかり終活もしていたそうです。
私たちには到底わからない、二人だけの絆というのがあったのかもしれませんね。
騒動や事件の一方で音楽界のパイオニアとして絶大な功績も
内田裕也さんは、樹木希林さんへの家庭内暴力や離婚届のねつ造、また大麻取締法違反や銃刀法違反、強要未遂と住居侵入容疑と3度の逮捕歴があるなど、数々の騒動や事件を起こしてきました。
しかし、そうした騒動や事件を起こしてもなお、ブレずに自分のポリシーを貫き通した人生は、まさに『Rock’n’Roll』そのものだったように感じます。
そしてあまり広くは知られていませんが、日本の音楽界にも多大な影響を与えてきたパイオニア的な存在でもありました。
彼が全盛期に残してきた数々の音源は、現在でも国内外を問わずマニアな音楽ファンの間で絶大な人気を誇っています。
一般的な常識の枠で考えれば、私生活はとても褒められたものではなかったかもしれません。それでも、なぜか憎めない魅力的なオーラを感じる人でしたね。
内田裕也さん、天国では樹木希林さんと仲良く・・・いや、この人には天国でも破天荒に自分のポリシーを貫いていてほしいかな。
Rock’n’Roll!!!